研究概要 |
合同なロッド(無限長剛体円柱)が互いに接触して支え合う周期構造および非周期構造について研究した.複合材料としての研究が従来からあったが,基礎科学の観点からの体系的な研究を目指した.「保持」「相互保持」「自己保持構造」などの概念を導入し,問題設定を明確にした.方向をN種類に限定し,N軸構造(=3,4,6など)と呼ぶ.交わることを禁じられたロッドでは,2本の間の関係でも,「捻れ」が一般的であって,平行や「鏡映対称のある」配置は,極めて例外的である.先ずは,単純な構造に限り,充填率の高い高密度構造と対称性の高い構造に関心がある. 3軸問題は,比較的単純なので現段階では特記すべきことではないが,より複雑な構造を考慮する段階では,興味深い問題もある.4軸問題では高密度構造と高対称構造が別物であることが判明した. 最も力を注いだのが6軸問題である.6軸ともなると,構造はかなり複雑で有り,実際に組み立てたものと,数式による表現を対応させることも困難となる.われわれは,最も単純なレヴェルの問題設定では,7種類の構造が可能なことを発見した.これらの中にはは,密度を一定に保ち,かつ相互接触させながら連続的な構造変化で相互移行できる構造があることを見いだした,これは新発見である.また,密度が2倍の構造も発見した. 6軸構造を統一的に整理し,可能な構造を尽くすことについては,まだ完成には至っていない.また,正20面体的対称性をもつ6軸準周期構造については,秩序を無限に拡張できることの厳密な証明には至らず,問題の整理に留まった.これらについては,今後引き続いて研究を進める.
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