平成6年度は超小型自律稼働磁力計の科学的意義を議論するための研究会を開催し、その中で科学的見地から本システムに求められる機能の整理を開始した。研究者間での議論を通して、小型磁力計による飛翔体、或いは、惑星表面での多点観測の科学的意義について充分な共通認識に至っている。 また、飛翔体・地上観測等でこれまでに築かれた磁力計システムの技術の確認作業を通して、開発に関わる問題点・開発要素等を明きらかにするための概念設計を同時に進めている。その結果、これまでの技術レベルを基盤として、磁力計本体の小型・省電力化については目標とするものが十分に実現可能との結論を得ている。 しかし、磁場センサー自身をコントロール部から大きく離せない制約条件の元では、微小磁場(10nT以下)を計測する観点からは、磁力計本体の磁場計測に対する影響を極力軽減する方策・それに対応した部品・構造の選択が不可欠となる。また、より一層の超小型・省電力を実現するためには、民生技術を含めたより最新の技術要素を取り込む事の検討の必要である。この場合、将来惑星探査を含めた宇宙での観測を目的とするため、環境条件・信頼性の面から個々の技術に対する評価を行って採用出来るか否を判定していく必要がある。これらの開発に先立つ諸問題点を明確にするために、各々の分野の専門家を交えた研究会を開催し検討を進めている。 今後はこれらの成果をもとに、実システムとしての要素技術の検討、実観測としての応用例に基づくシステムの概念設計を行っていきたい。
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