研究概要 |
<大量絶滅期の海洋環境異変の復元> 顕生代の大量絶滅層準を対象とした硫黄同位体地球化学的解析を継続し、以下の新知見を得た。1)徳島県天神丸セクション、兵庫県篠山セクション、群馬県大間々セクションにおける検討から、ペル4紀新世初期〜トリアス紀初期にわたる長期かつ大規模な無酸素停滞成層海洋の発達と、ペル4紀末におけるその一時的崩壊現象の発生が立証された。これは世界最初の実証的知見であり、成果の一部を国際誌に発表した(Palaeogeogr.Pnlaeodimafol.Palaeoecoly.111,1994)。2)北海道大夕張セクションにおける検討から、白亜紀セノマニアン/チューロニアン境界の海洋無酸素事変が立証された(公表準備中)。3)ニュージーランド北島のTawanuiセクションにおける検討から、古第三紀の大量絶滅期(58Ma)にバクテリア生態系の異変を示す顕著な硫黄同位体異常を見出した(公表準備中)。 <鉱床生成期の海洋環境異変の検討> 東北日本の北上山地及びグリンタフ地域において系統的サンプリングを実施し、中古生昇の層状マンガン鉱床及び新生昇の層準規制型黒鉱鉱床それぞれの胚胎層準の硫黄同位体的検討に着手した。予察的結果によると、これらの鉱床生成期においても顕著な海洋環境異変のあったことが示唆される。今後の成果が期待される。
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