研究概要 |
今年度は,各種のデータを収集した。このデータは現在も入力中である。隕石データベース,宇宙化学データベースおよび高温高圧実験データベースが完成して,その内容はすでに報告した。マグマオーシャンの温度や圧力,気体分圧などの条件を限定ための地球初期データベースと惑星データベース,硫化鉄形成の実験方針の決定するための硫化鉄データベースが入力中である。 隕石データベースから,地球の材料物質である隕石には,普遍的に硫化鉄を含むことが明らかになった。そのため地球初期のマグマオーシャンでは,硫化鉄が真っ先に溶け,沈み,核を形成する可能性が強い。研究計画段階で予想したように,硫化鉄メルトとともに地球内部に持ち込まれる放射性元素は地球の熱的進化に大きな影響を与えるはずである。しかし,高温高圧実験データベースから,硫化鉄メルトへの放射性元素の分配の研究は少ないことが明らかになった。 今年度の予定通り,岩石合成実験は,温度制御された電気炉を用いておこなうための適切な装置の選定と.市販品の改造をおこなった。現在,実験手法と岩石合成物の観察方法と分析方法の開発中である。 また,本研究で開発中の電気炉を用いた高温合成実験は,大量に試料を合成できるため,微量元素の分配を調べるのには有効である。本研究テーマであるマグマオーシャン表層の条件での硫化鉄メルトへの熱源元素の分配を定量的に決定するのは,非常に重要なテーマであることが再確認された。
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