平成7年度まで、宇宙化学データベースおよび隕石データベース、惑星物理データベース、惑星化学データベースが完成して、すでに報告した。マグマオーシャンの温度や圧力、気体分圧などの条件を限定ための地球初期データベースと硫化鉄(FeS)形成の実験方針の決定するための硫化鉄データベースを現在入力中である。 各種データベースから、地球の材料物質には、多くの硫化鉄を含むことが明らかになった。そのため地球初期のマグマオーシャンでは、硫化鉄が真っ先に溶け、沈み、核を形成する可能性を指摘できた。研究計画で予想したように、硫化鉄メルトとともに地球内部に持ち込まれる放射性元素は地球の熱的進化に大きな影響を与えることが明らかになった。 岩石合成実験は、温度制御された電気炉を用いておこなうための適切な装置の選定と、市販品の改造をおこなった。本研究で開発した電気炉の高温合成装置は、大量に試料を合成でき微量元素の分配を調べるのには有効であることが明らかになった。さらに、雰囲気を制御した実験をする必要があることが判明し、密閉容器による装置を開発中である。現在、合成実験を進めており、硫化鉄メルトが沈降する条件を限定中である。 本研究テーマであるマグマオーシャン表層の条件での硫化鉄メルトへの熱源元素の分配を定量的に決定するのは、非常に重要なテーマであることが再確認された。
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