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本研究の目的は、ラン科植物から菌根菌を分離し、アメーバを与え、菌のアメーバ捕食能を調査することである。しかし、残念ながら初年度は、捕食能を有する菌の発見に失敗した。本年度の前半は、当初からの予定どおり私自身が野外や温室から菌根を採取して、得た菌根菌のアメーバ捕食能を調査した。ところが実際は根の中にある菌の塊(pelton)を探すことすら困難で、方法はもっぱら根全体を洗浄し、寒天培地に接種する西川・宇井(1976)の方法を採用した。結果は一例だけ、アメーバ内に菌糸を伸ばす菌が確認されたのみであった。そこでラン科植物の菌根に詳しい増原学氏(石垣島にある農水省国際農林水産業研究センター沖縄支所勤務)から由来の知れたTulasnella属数種の菌株を提供してもらうこととなった。しかし、不幸なことに氏はその直後に病気となって欠勤し、ついに2月6日に32歳でこの世を去ってしまったのである。
現在私は増原氏に代わって英国DevonのPeter Roberts氏にTulasnella各種の分譲を依頼中である。彼は1992年以来この属の各種をMycological Researchに毎年記載している人物である。
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