研究概要 |
ヤマトシジミとキオビベッコウの野外観察を行った。 1個体追跡法で行われたヤマトシジミの観察は、遭遇が同種個体に片寄り、他種との遭遇はあまりないという6年度の観察をさらに裏付けていた。しかし、わずかの例だが、夜間の睡眠中に捕食者との遭遇が推測できる状況証拠を得た。こうした同種個体に片寄る遭遇の現象は、おそらく多くの種において見い出される基本的なパターンである可能性がある。 キオビベッコウに関しては、6,7年度を通じて継続的に種々のデータ採取につとめ、個体の履歴と行動の関連性を押さえた。野外条件のため羽化後の日齢は正確ではないが、作用個体の日齢と個体間の相互作用とは大いに関連がある。1個体追跡法によるデータ収集とともに、断片的な1個体追跡を継続的に行うことにより、十分に分析可能なデータ量を蓄積することができた。成果の一部は7年度の日本動物行動学会でポスター発表した。 6年度に野外網室でデータを採取したナミアメンボについては、おもにデータの解析中である。 今回のデータを使用したり解析したりしたものではないが、大谷がミツバチで長年行ってきた1個体追跡法の総まとめとして「1個体追跡法とミツバチの行動」(兵庫県養蜂振興会/兵庫県農林水産部畜産課)を上梓し、平凡社の「昆虫ウォッチング」に「1匹を追跡してエソグラムをつくろう」を分担執筆した。遠藤も同書に、狩りバチの観察法を一般化して「狩りバチの生活」をまとめた。
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