研究概要 |
平成6年度の一般研究(C)の研究計画においては,1.in situ ハイブリダイゼーション法による葉緑体形成関連遺伝子の発現パターンの解析と,2.パーティクルガン法を用いた細胞の分化に伴う葉緑体ゲノム遺伝子の発現調節機構の解析に重点をおいた。解析の結果は以下のとおりである。 1.in situ ハイブリダイゼーション法を用いて,イネの葉原基近傍における葉緑体局在RNAポリメラーゼ遺伝子(rpo)の発現パターンを解析した。その結果,rpo遺伝子は葉の成長過程におけるP4と呼ばれるステージ(葉細胞が空間的分化を終了し,光合成能力の獲得などの機能的分化を開始する発生ステージ)で特異的に発現していることが明らかになった。 2.葉緑体ゲノム遺伝子の発現に重要と思われる葉緑体局在RNAポリメラーゼ遺伝子(rpo)やrbcL遺伝子のプロモーター領域をリポーターとしてGUS遺伝子に接続し,さらにタ-ミネーター構造を付与したキメラ遺伝子を作製した。これらのキメラ遺伝子を,パーティクルガンによりモデル系としてタバコBY2培養細胞に導入し,それらのトランジェントな発現活性をGUS活性を指標に測定した。α‐アマニチン,クロラムフェニコールなどの阻害剤がそれらの発現に及ぼす効果を検討した結果,これらが葉緑体で特異的に発現していることを確認した。
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