研究概要 |
1.赤外線領域における液晶の光物性と応用について (1)前年度に作製した液晶の光物性測定装置を用いて,赤外線の波長領域における各種の液晶の透過及び吸収特性,屈折率及び複屈折率の特性を測定した結果、分子構造が単純なビフェニル系液晶K15が赤外線の波長領域で比較的吸収が弱く、複屈折が大きいことが見い出された。 (2)赤外線領域において,可視光線領域と同様のTN効果が認められた。また,円形穴型パターン電極構造の液晶マイクロレンズアレイセルにおける光散乱効果が最大となる条件を得ることができた。 (3)液晶マイクロレンズアレイセルに電圧を印加すると,不均一電界に起因するディスクリネーションが発生・消滅する様子が観察され,急激な電圧印加により誘起されていることがわかった。また,この光散乱効果を利用した赤外線領域での光デバイスについて実験検討を行った。 2.サブミリ波領域における液晶の光物性と応用について (1)CO_2レーザ励起によるCH_2F_2サブミリ波レーザを用いて,118,215,435(μm)の波長帯で,平行配向の液晶セルにおけるセルの傾きの角を可変して常光及び異常光に対する屈折率を測定し,215(μm)の波長帯でK15についてn_e=1.79,n_e=1.90という値が得られた。また,液晶層は実効的に薄いので,吸収効果は問題にならないことが分かった。 (2)液晶マイクロレンズアレイを用いて電圧オン・オフによる透過率の変化を測定したところ,30(%)程度の変化が得られた。次に,K15を用いた平行配向の液晶セルを用いて直交偏光子の状態で電圧印加時の位相変化を測定した結果,波長が118(μm)帯においてλ/8〜λ/10程度の変化が見られ,0.12〜0.15程度の複屈折値が得られた。また,ネマティック-コレステリック相転移モードの場合には,相転移温度での透過特性には特に変化が見られなかった。
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