1.電子顕微鏡における画像データのコンピュータへの取り込み、及びマルチスライス法にもとづくコンピュータシュミレーションとの連携による酸素欠損の最適結像条件下における観察を行うシステムを平成6年度にほぼ完成させたが、システムの動作チェックのため、平成7年度では実際の試料の観察、及び解析を試みた。また、イメージングプレートによる画像データの取り込みを試み、定量的な像解釈を行った。特に、最適観察条件の加速電圧(200/300kV)による違い、膜厚依存性、欠陥位置による違いなどについて定量的像解釈に必要な知見を得ることができた。具体的にはLaMnO_<3-x>の組成をもつ酸素欠損型ペロブスカイト化合物について実験を行ったが、前述の欠陥構造のみならず酸素欠損を伴う双晶構造についての知見も得ることができた。それらの成果は日本物理学会、電子顕微鏡学会、日中電子顕微鏡セミナーにて発表を行った。 2.その後の展開として、電子回折理論にもとずく解釈をおこない、さらに酸化物高温超伝導体をはじめとした一般的なペロブスカイト酸化物に適用して、物性との関連で酸素欠損の直接観察を行った。また、欠陥構造の安定性を議論するため、分子動力学法による計算を行い、電子顕微鏡像の動的観察との関係を調べる研究につながっている。 3.以上、平成7年度は最終年度として、予定に従い研究成果をあげることができ、さらに次の研究テーマへの発展性も確認できた。 4.平成7年度における成果は、発会発表3回、学会誌2報(8年度予定の1報を含めると3報)であった。
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