研究課題/領域番号 |
06805006
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
小柳 剛 山口大学, 工学部, 助教授 (90178385)
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研究分担者 |
松原 覚衛 山口大学, 工学部, 教授 (30025986)
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キーワード | 半磁性半導体 / テルル化カドミウムマンガン / 超格子 / 磁気光学効果 / 光導波路 / X線光電子分光分析 / フォトルミネッセンス / スピン交換相互作用 |
研究概要 |
本年度は、半磁性半導体であるCd_<1-x>Mn_xTeの超格子を用いた導波路型光機能素子を開発するための基礎研究として、GaAs基板上にクラスタイオンビーム(ICB)法によりCd_<1-x>Mn_xTeエピタキシャル薄膜を成長させ、その電子構造を調べるとともに、光学的特性や磁気光学的特性について研究を行った。また、磁界中でのCd_<1-x>Mn_xTe超格子の光導波特性の測定系の制作を行っている途中である。以下に、得られた主な知見を述べる。 1.Cd_<1-x>Mn_xTeエピタキシャル薄膜の電子構造をX線光電子分光分析(XPS)測定によって調べ、磁気光学効果との関連を探った。XPSの測定結果より、Cd_<1-x>Mn_xTeのスピン交換相互作用は、全Mn組成領域で、組成によらず一定であることが明らかにされた。これらの結果と光吸収スペクトルの結果などから、これまで磁気光学効果の起源となるゼーマン分裂が、一次の摂動法によるバンド計算により求められてきたが、Mn組成の大きな領域では、さらに高次の摂動を加えなければ、Cd_<1-x>Mn_xTeの磁気光学効果を説明できないことがわかった。 得られたCd_<1-x>Mn_xTe薄膜の光学的品質を調べるために、液体He温度でのフォトルミネッセンスの測定を行った。得られた結果は、中性クラスタビームで作製した薄膜が最もよく発光するが、欠陥が多い薄膜であった。これらの結果から、光学的品質の良好なCd_<1-x>Mn_xTe薄膜の成長には、成長初期にはイオン化、加速したクラスタビームを用いて結晶性を改善し、その後中性クラスタビームで成長させる2段階成長法が、最適な成長法であることが推察された。今後、それに確かめる実験を行う予定である。
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