逆傾斜不均質体の場合の解法を提案し、任意に変動する不均質体の二次元動弾性解析へ、研究が前進した。この成果は1995年4月にウィーンにおいて開催された国際会議(MJFR-2)で、“Reflection of Elastic Waves by a Gradient Inhomogeneous Layer"と題して発表した。 次に、線形不均質要素層の応用例を示し、汎用解法としての熟成を考えた。そこで、不均質表層の評価を代表例に選び“Backscatter of Elastic Waves from a Thermally Affected Surface Layer"と題して6月に浜松における国際会議(Thermal Stresses '95)で結果を発表した。さらに解法を再整理して広く議論を求めるため“Linear Inhomogeneous Layer Element for Reflectance Evaluation of Inhomogeneous Layer"と題して11月にサンフランシスコで開催されたASME主催の国際会議(ME'95)で発表した。通常の計算の範囲で計算負担が軽減できることを確認し、その不均質層要素をLILE(Linear Inhomogeneous Layer Element)と命名した。また、「線形不均質層要素による弾性波の反射透過解析」日本機械学会論文集A編2月号に掲載した。 LILEの柔軟な利用法をめざし、不均質パラメータの適用範囲を広げて検討したところ、虚数次変形ベッセル関数の精度を確保することが、新たな課題として浮上した。これは用いる要素(LILE)の厚さを極端に薄くした時に生ずる。更なる研究を続けることが肝要である。いずれにしても、研究の進展に伴って現れるこのような問題があっても、LILEを使用する方法の優位性に変わりはない。
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