本研究では、今までに知られている自然法則を計算機内に知識ベースとして体系化/可視化し、人工物の創出における発想支援環境を開発することを目的としている。 本年度の研究では、これまでに収集した約200の自然法則を計算機に蓄積するための表現技術について研究し、自然法則知識ベースをワークステーション上に実装可能なように形式化した。現状の自然法則は多くの分野にまたがっているので、各法則の表現に用いられる物理量を統一化した表現系にする必要があった。また、各法則の記述に際しては、物理量だけではなく、各法則の背景にあるモノの見方やその法則の実現構造を合わせて記述する必要があることがわかった。 結果として、自然法則を表現する方法として次の形式を定めた。(1)物理量に関する知識(この知識は、物理量、操作可能な物理量及び物理量に対する制約から構成される)(2)発現構造に関する知識(この知識は、実体、各実体の材質、形状、分布に関する制約、実体の構造化に関する制約、場、実体と場の関係から構成される)(3)物理量間の関係式又は因果関係に関する知識。本年度の研究では、今までに収集した約200の自然法則をこの形式に則って表現した。また、これらの知識を記述する基本語彙として、材質、形状、構造化等の各辞書を作成し構造化した。更に、これらの表現を計算機にデータベースとして実装することを試みた。
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