本研究では、今までに知られている自然法則を計算機内に知識ベースとして体系化/可視化し、人工物の創出における発想支援環境を開発することを目的としている。 昨年度までに、自然法則を計算機に蓄積するための表現技術について研究し、自然法則知識ベースをワークステーション上に実装可能なように形式化した。自然法則は多くの分野にまたがっているので、各法則の表現に用いられる物理量を統一化する必要があった。また、各法則の記述に際しては、物理量だけでなく、各法則の背後にあるモノの見方やその法則の実現構造を合わせて記述する必要があった。 本年度の研究では、昨年度に定めた自然法則の表現形式について、約150の法則を記述する試行錯誤を踏まえながら精微化した。また、人工物の発明の過程をいくつかの自然法則の適用の過程として記述することを試みた。このような観点から具体的な事例を分析したところ、非常に複雑なモノを見方の変換をともなっていると説明されることが分かった。
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