心臓ペースメーカー電源の経皮的エネルギー伝送システムのプロトタイプを製作し、性能評価を平成6年度に行った。本年度は、研究代表者と分担者の斎藤正男教授(東京電機大学)はエネルギー伝送システムの動作状態の理論解析を実験結果と対比して行った。また生体内、生体外におけるエネルギーの電磁界解析の理論解析をおこない、エネルギーの高効率伝送について検討し、電磁障害の評価を行った。併せて、エネルギー伝送系全体の生体適合性の評価を行った。特に心臓ペースメーカー全体のシーリングケースはチタニウムで構成されるため、エネルギー伝送時にわずかな発熱のあることが実験により確認されているので、チタニウムに発生する渦電流を最小に抑える検討を行った。 現状の心臓ペースメーカー電源電池および心臓ペースメーカーをもとに近未来の長寿命社会において要求される最適な長寿命ペースメーカーエネルギー源の開発、基本設計および生体適合性の検討を研究代表者および分担者で行った。生体外から非観血、非侵襲で経皮的に繰り返しペースメーカー内の2次電池に充電してエネルギーを伝送する共振形DC-DCコンバータの開発、およびプロトタイプの製作をおこない、その基本性能の評価をおこなった。また共振形DC-DCコンバータのダイナミックな電圧電流解析、および経皮トランスフォーマ-の電磁界解析を行った。 本研究に関し、計画上の基本的な心臓ペースメーカー電源充電システムの構築は完了し、その基本性能評価、および理論解析と実験結果の検討は、国内及び国際会議において論文発表した。
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