本理論が基盤とする不安定構造理論は、既に、川口講師と半谷教授の共同研究により確立され、その有効性を確かめている。本研究では、不安定構造理論を構造物の畳み込み理論に応用する際に必要となる、幾何学的な計量の設定方法、最適畳み込み経路の決定法などに対して新たな理論展開が必要となった。初年度である、平成6年度には、この理論展開に重点を置き、研究を行った。 理論展開の方針としては、幾何学的な計量の設定、最適畳み込み経路の定義が重要となるが、これらに対して、一般逆行列理論に基づく理論展開を行なった。構造物を、平面、線、点状に畳み込む場合について、幾何学的な計量を設定し、変位経路最小の最適経路の定義付けを行った。これにより、最適経路に沿った、骨組構造の畳み込み解析が行えるようになった。解析対象として、簡単な2次元のトラスモデル、3次元のリングモデル、3次元のラメラパターンドーム構造などを選び、数値解析を行った。また、新たな研究課題として、最適経路上に生じる分岐経路の問題が発生することが判った。分岐点における経路の選択の問題は今後更に追求する必要がある。 理論展開と並行し、数値解析プログラムを目下、整理しつつある。これにより、計算結果を計算機の画面上でVisualizeすることが出来るようになる。 研究は予定通り、川口講師が主に総括を行った。理論的基盤は半谷教授の分担協力を得た。この研究体制は既に行った研究の開発の際と同様に、有効に機能した。
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