本申請研究は、任意の境界条件に張る極小曲面を常に実現することが可能な石鹸膜曲面を、平行平面内をヘリウム・カドミウムレーザー光線を高速スキャンさせることにより断層的に可視化し、二台の高速ビデオにより異なった画角で撮影することにより得られる二つの同期画像データに対して、断層画像走査法(CTスキャン法)を用いて三次元曲面として正確に復元する手法を開発し、膜構造の原型曲面の簡易形状計測法を開発することを目的としたものである。 本研究は、1)曲面形状測定用の目的空間(一辺約30cmの立方体)内を任意の方向に任意の刻み幅で平行に高速スキャンするヘリウム・カドミウムレーザーにより可視化された曲線状の画像群を、2台の高速ビデオで撮影し、幾何補正を行なうための、画角などの初期設定値諸量の最適値の検討、2)2台の高速ビデオカメラにより採取される同期CT画像から、ステレオ対応探索法などの光学幾何学を利用して空間曲線を認識し、その移動画像群として、石鹸膜曲面形状の三次元データを発生する解析プログラムの開発、および3)変分原理に基づく極小曲面の有限要素法による数値解析結果との比較検討、の大きく3つの過程からなっている。本年度は、主に2)および3)について中心的に行った。2)については、2台の画像データから立体画像データを抽出する過程がほぼ完成した。また、3)については、非線形計画法に基づく計算手法の導入により能率的な数値計算手法を開発した。これらにより、当初の目的はほぼ達成されたと考えられる。
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