研究概要 |
1.都市内主要道路の各種環境装置の物理量の実態調査・分析。 福岡市の中心市街地の主要道路7路線を対象に,歩道内に設置されている環境装置すべての種類と量,分布,設置状況,仕様について実態調査を行った。分析の方法としては,道路延長の異なる7路線の構成要素別の平均基数(基数/100m)を算定し,道路の規格や周辺の土地利用特性などによる比較分析を行った。その結果,周辺土地利用の特性や,道路整備レベルの違いなどによって,環境装置の種類や量,分布特性などに特性がみられ,各環境装置が互いに関連なく個別に設置されていることなどが明らかになった。 2.高齢者の屋外生活特性に関するアンケート調査および分析。 任意抽出の50歳以上の高齢者予備群および高齢者に対して記述回答によるアンケート調査を実施した。その結果,徒歩および公共交通機関利用による外出が多く,歩行上の障害物,横断時間、階段の高さ,公衆便所の不足,ベンチの不足など,屋外生活にかかわる問題点が多く指摘され,環境整備によって解決すべき課題が明らかになった。 3.平成6年度での結果との比較考察。および高齢者対応の環境装置設計方法の基本的な考え方の提示。 平成6年度の公共交通機関〈バス利用〉を中心の調査研究の結果を,さらに歩道環境全体で今年度調査研究した結果,高齢者対応の都市内環境装置のあり方における質・量ともに不連続な歩道形成の課題が明らかとなった。この課題解決のためには,段差や高低差,つまずきや滑りなどの解消のための基本的な歩道整備,現状では個別に整備されている環境装置相互の屋外生活支援の役割の関係性や連続性を確保するなど,物的・空間設計の方法を構築することと,環境装置の維持管理にかかわる行政面や利用者のモラル面などを含めた社会システムの一環としてとらえることなど,今後の環境装置設計方法構築のための基本をなす意味で有効な結果が得られた。
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