本申請課題では外部状況に応じて著しい変化を起こすタンパク質を能動素子として、自らは機能変化をせず単に構造を維持する性質を有するタンパク質を受動素子とすることによって、機能素子と受動素子から成る膜マトリックスが外部情報に応じて大きな変化を起こすようなタンパク質集積体を作ることを第一の目的としている。そしてこのような分子集積体において膜マトリックスの透過性が大きく変化することが予測されるので、過度の外部情報に対して生体の恒常性が保たれるように機能するインテリジェンスを有するデバイスを創出するのを第二の目的としている。 以上の目的を達成するために、平成6年度はまず、カルモジュリンの単分子膜をラングミュアー・ブロジェット法で作製するための条件を明らかにした。 水溶性のカルモジュリンを単独で薄膜化した場合、膜の耐久性に問題があることが解った。そこで、カルモジュリンに脂質分子を結合して、両親媒性の分子とし、タンパク質-脂質複合体を作製した。このタンパク質-脂質複合体で作製した単分子膜は、気液界面において安定に存在することが示された。また膜の構造は、カルシウムの有無により大きく変化をし、伸長・収縮が可能な単分子膜であることが明らかとなった。
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