研究概要 |
本研究で以下の結果を得た. 1.先端系が5μm以下の白金ディスク電極を,電解エッチングによる白金の細線化,ガラスキャピラリ中への封入,先端の研磨の工程により作製した.作製した電極の挙動を種々の計測法により検討し,定電位アンペロメトリー,微分アンペロメトリーにより酸素還元電流を計測することにより,電極が存在する局所領域の酸素濃度を測定できることが明らかとなった. 2.作製した電極を植物細胞であるハネモプロトプラスト内に挿入し,定電位アンペロメトリーにより細胞内酸素濃度計測を行った.この細胞に光照射を行ったところ,細胞内酸素還元電流が急激に増加し,光合成による細胞内酸素濃度変化をリアルタイムで計測できることが示された.また,微分アンペロメトリー細胞近傍の酸素濃度変化を詳細に測定し,光合成や呼吸に伴う酸素放出量や酸素吸収量を単一細胞レベルで決定できた. 3.マイクロ電極を細胞膜類似物である脂質二分子膜に近傍させ,酸化還元電流を計測することにより,Ru(NH_3)_6^<3+>, Fe(CN)_6^3のイオンチャネル透過性を評価することができた.また,プロトプラストにマイクロ電極を近接させボルタンメトリーを行うことにより,フェロセニルメタノール,Ru(NH_3)_6^<3+>, Fe(CN)_6^3の膜透過性を,生きた単一細胞で評価することができた. 4.マイクロ電極先端部にNiポルフィリンを固定したNOマイクロセンサおよびスーパーオキシドディスムターゼ/カタラーゼを固定したO_2を作製した.これらセンサをラット脳内に埋め込むことにより,生体内のNOおよびO_2の濃度計測に成功した.
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