1)光酸発生型ポリマーの露光表面をポリシロキサンで修飾する方法として、液相修飾法を検討した。アルコキシシランを含むヘキサン:アセトン=9:1(v/v)の溶液に露光フィルムを漬けると、露光部分にのみポリシロキサンが生成した。CVD法と比較して、この方法では、多種類のアルコキシシランが利用できること、修飾処理時の温度コントロールが容易なこと、アルコキシシラン濃度のコントロールが容易なこと、などの特徴があった。修飾液の溶媒としては、ポリマーに対する貧溶媒を使用するのが基本であるが、ごく少量の良溶媒がポリシロリサン生成のプロモーターとして不可欠であった。液相修飾法で処理したフィルムは酸素プラズマエッチングに対して優れた耐性を示した。 2)Si元素を含むポリマーの露光部分からSi元素を取り除くことができれば、酸素プラズマエッチングによりポジ型のパターンが得られるフォトレジストとして利用できる。本目的のためにシリルエステルやシリルエーテルを側鎖に有するメタクリル酸エステル型ポリマーを合成し、これに光酸発生剤を添加した系を検討した。光酸発生剤を添加したフィルムに254nm光を照射すると、室温に於いてもシリルエステルやシリルエーテルは加水分解し、沸点の低いシラノールやジシロキサンが遊離することがわかった。これらのシリル化合物をポリマーフィルムから除去するには、室温で、アセトンやメタノールなどの有機溶媒の蒸気に曝す方法が有効であることを見い出した。Si元素を除去した露光部分の酸素プラズマエッチング速度は、未露光部分のそれよりも数倍速くなることがわかった。
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