本研究は、光照射により酸を発生するポリマーを利用し、化学気相堆積法(CVD法)や液相修飾法によって、露光表面でのポリシロキサン生成を利用する表面イメージング型の新規フォトレジスト系の開発に関する基礎的知見を得るとともに、表面の化学修飾を利用する新規フォトレジスト系の開発を目的として行った。CVD法により、露光表面で形成されるベースポリマーとポリシロキサンとの複合層の厚さをコントロールするには二種類の方法が有効であった。(1)ポリマー中への紫外光吸収基の導入し、フィルム中で酸が発生する部分の厚さを減少させる方法、(2)露光部分を架橋し、アルコキシシラン分子の拡散速度を遅くして、ポリシロキサンとベースポリマーとの複合層を薄くする方法。 光酸発生型ポリマーの露光表面をポリシロキサンで修飾する方法として、液相修飾法を検討した。CVD法と比較して、この方法では、アルコキシシランの種類が多く利用できること、修飾処理時の温度コントロールが容易なこと、アルコキシシラン濃度のコントロールが容易なこと、などの特徴があった。液相修飾法で処理したフィルムは、酸素プラズマによるエッチングに対して優れた耐性を示した。 Si元素を含むポリマーの露光部分からSi元素を取り除くことができれば、酸素プラズマエッチングにより、ポジ型のパターンが得られるフォトレジストとして利用できる。本目的のためにシリルエステルやシリルエーテルを側鎖に有するメタクリル型ポリマーを合成し、これに光酸発生剤を添加した系を検討した。
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