研究概要 |
1.昨年度に設計,試作したマルチDSPを用いたカラー画像並列処理方式高速魚種識別システムは,魚体の形状および色特徴が良く現れる幾つかの小領域をハードウェアの工夫により任意に指定し,それぞれの小領域に画像処理専用のプロセッサを適切に割り振り,並列処理を行えるという特徴を持ったマルチプロセッサシステムである。この方式によれば必要な情報のみを抽出できるため,使用する画像メモリ容量を大幅に削減でき,システムの小形化が実現できる。また、小領域毎に処理を行うため,高速化が図れるという並列処理方式の特徴を十分に生かすことができる。本年度は,この高速カラー画像識別システムを用いて,魚類の識別に同時生起行列によるテクスチャ解析を適用した場合の認識アルゴリズムの最適化とそれに適したマルチプロセッサシステムの構成方式について検討した。これにより,システムの小形化および処理速度の向上を図ることができる。 2.魚の特徴が良く現れる魚体中の3箇所の小領域に対して,三原色毎に同時生起行列によるコントラスト,モーメントおよび相関により特徴量を抽出し,合計27個のパラメータにマルチレベルスライス法を適用することにより,形状が似通った同科の魚種の識別が行えることを示した。そして,パラメータ数の最適化を図るアルゴリズムを示し,システムの設計基準を確立した。その結果,代表的な大衆魚であるサバ科のマサバ,ゴマサバ,アジ科のマアジ,ムロアジ,ニシン科のマイワシ,ウルメイワシを対象として,12個の特徴量を選択し,並列処理を行うことにより一尾当たり60ms以下の高速で魚種の認識が良好に行えることを確認した。今後,フィールド実験を行うことにより,実用化を図る上の問題点を明らかにしたい。
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