研究概要 |
魚種選別作業の自動化を目的として,複数個のディジタル・シグナル・プロセッサすなわちマルチDSPを用いたカラー画像並列処理方式高速魚種識別システムを設計,構築した。本システムは,画像入力としてのCCDカメラ,一画面中の任意の画素をピクセルプロセッサユニットへ送るためのインタフェースユニット,局所並列処理方式の画像専用DSPを複数個並列に並べたピクセルプロセッサユニット,複数個の汎用DSPより成るシステムコントローラおよびホストコンピュータとしてのパーソナルコンピュータより構成されている。各ユニットを構成するDSPはマルチバスとシリアル通信網により結合され,その結合方式に柔軟性を持たせることで制御方式を変更できるようになっている。これにより,処理対象あるいは処理内容に応じて各プロセッサに割り当てられる処理領域を適切に変化させ,システムの処理効率を高めている。また,魚の特徴が良く現われる魚体中の3箇所の小領域に対して,三原色毎に同時生起行列によるコントラスト,モーメント,相関等により特徴量を抽出し,合計128個のパラメータにマルチレベルスライス法を適用することにより,形状が似通った同科の魚種の識別が行えることを示した。そして,パラメータ数の最適化を図るアルゴリズムを示し,システムの設計基準を確立した。その結果,代表的な大衆魚であるサバ科のマサバ,ゴマサバ,アジ科のマアジ,ムロアジ,ニシン科のマイワシ,ウルメイワシを対象として,8個のパラメータを選択し,並列処理を行うことにより一尾当り55ms以下の高速で魚種の認識が良好に行えることを確認した。今後,フィールド実験を行うことにより,実用化を図る上での問題点を明らかにしたい。
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