研究課題/領域番号 |
06806005
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
竹内 安智 宇都宮大学, 雑草科学研究センター, 教授 (90008003)
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研究分担者 |
前田 忠信 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (20008022)
小笠原 勝 宇都宮大学, 雑草科学研究センター, 助手 (40194419)
米山 弘一 宇都宮大学, 雑草科学研究センター, 助教授 (00114174)
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キーワード | 水田雑草 / コナギ / 種子発芽 / 発芽促進物質 / イネ |
研究概要 |
水田の強雑草の一つであるコナギにたいするイネの促進作用を調べた。大型のポットに土壌を充填して湛水し、コナギ種子だけがコナギ種子と一緒にイネ種子またはイネ幼苗を育てた。イネ幼苗は10日苗(2.0-2.2葉)、20日苗(3.8-4.0葉)、または30日苗(4.5-4.8葉)を用いた。コナギ種子の2、4、および7週間後の発芽率はコナギだけの場合、それぞれ、30%、40%、および44%であったが、イネ種子4、000粒(10a相当)を同時に播種した場合はそれぞれ45%、60%および65%であった。そして発芽、生育したコナギの重量もイネ共存下で大きかった。10日苗5、000-20、000本区(10a)でもこのような促進効果がみられたが、20日苗区では顕著ではなく、30日苗区ではむしろ阻害がみられた。水田圃場においてもイネ種子および乳苗共存区ではコナギの発生本数、重量とも著しく多かった。 コナギ種子の発芽には湛水と光が必要であるが、イネ種子の共存下では暗黒下でも発芽がみられた。そこでイネ種子の培養液を水相区と酢酸エチル区に分けてコナギ種子の発芽促進効果を調べたところ水相区にのみ活性が認められた。これをさらにゲル濾過によって分画したところ特定のフラクションに活性があった。その促進物質は分子量がおよそ300の水溶性の化合物であることがわかった。 コナギ種子の発芽は種皮を除去すれば無湛水、暗黒下でも可能であることから、通常、種皮の機械的な抑圧力に抑えられているものとみられる。湛水に伴って発生するエチレンと光によってコナギの胚の生理活性が高まり、その結果種皮の機械的抑圧力に打ち勝って幼芽を突出できるものとみられる。これにたいしてイネ種子あるいはその幼植物に含まれる活性成分は直接、胚の生理活性を高める生理作用を有しているものとみられた。
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