研究概要 |
(1)植物-ナミハダニーチリカブリダニ三者系を用い,ナミハダニの加害程度とチリカブリダニ誘引物質の生産性について,詳細に検討した。その結果,植物はある程度以上の被害を受けなければ,誘引物質を生産することが出来ない事を定量的に示した。また植物がどの様なときに天敵を誘引する防衛を進化させるかについて,最適戦略モデルを作成した。加害と誘引物質生産性との相関関係のデーターは,そのモデルのパラメーターとして利用でき,植物がどの程度のコストを間接防衛に利用しているかについて推定した。 (2)ナミハダニに対する直接的防衛機構をもつ植物が,チリカブリダニを利用する間接防衛を進化させているかどうかについて,トマト-ナミハダニーチリカブリダニ三者系及び,トマト-ニセナミハダニ(トマトを加害出来るハダニ)-チリカブリダニ三者系で検討した。その結果,ナミハダニはトマト葉上では生育できないが,一時的な加害に対して植物はチリカブリダニを誘引する。一方,ニセナミハダニはトマト上で生育出来るが,加害葉からはチリカブルダニ誘引物質が生産されないという結果を得た。これらの結果の解釈について現在検討中である。 (3)植物が加害に反応して生産する天敵誘引物質については,これまで室内操作実験で検討してきた。そこで,実際野外でも,誘引物質が有効に機能してるかどうかについて,調査した。その結果,野外条件下でも加害マメ植物の匂いに反応して,ナミハダニの天敵(ハネカクシとカブリダニ)が誘引される事を明らかにした。
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