研究概要 |
茨城県南の谷地田と岩手県の中山間地を対象として調査を行った。谷地天水田の見られる地区について小流域内の土地利用状況を対象にして,低地にある水田の面積と台地にある畑地とおよび林地の面積の比率を調べた。さらに,中山間地の渓流は水田へ豊富な灌漑水の供給を行っているが,小流域の林地から渓流に流れ込む水の窒素含量やpH値にどのような特徴が見られるかについて調査した。この豊富な水量と水質は針葉樹に代わって広葉樹の植林の効果であるか否かについて調べた。 成果として,次のようなことが言える。 1.水田の灌漑水は水質,水量ともに上流の林地,下流沿岸の漁業に密接な関係にある。 2.林地面積Xの減少と水田面積および畑地面積Zには直線的関係を有し,次のような式で示される。 Y=αX+βZ 但し,α,βは常数である。 この値については統計的に処理中であるが,おおよそ,水田の成立面積に対し森林は畑地面積とくらべ10倍以上の大きな影響をもつことが分かった。 3.畑地は林地とくらべ雨水の貯留能力は遙かに少ないが,しかし水質には大きな影響をもつことが明らかになりつつある。 4.水田と畑地の依存的関係を圃場未整備地区について調べ,両者はモザイク状に混在して結びついているところが多いことが分かった。 5.針葉樹と広葉樹の水質に与える影響についてはまだ不明であるが,広葉樹林面積が多いところでは渓流水のpH値は若干アルカリ側にシフトするところもある。
|