研究概要 |
前年度に引き続き,谷地田ならびに中山間地を対象として調査を行った。岩手県の他に,今年度は群馬県の吾妻川周辺中山間地を調査地に加えた。林地と水田との地形分類を前年度の引き続き行い,中山間地における小河川流域内の水田の生産力との関係を調べ,この地域の土地利用の特徴を調査した。また,小河川流域の林地から流入する水が窒素含有量やpH値にどのような特徴を持っているかを調べるために水質検査を行った。 成果として,次のようなことが言える。 水田面積をY,林地面積をXおよび畑地面積をZとした場合,次のような式で示されることは前年度でも報告したが, Y=αX+βZ(但し,α,βは係数) 灌漑期間を100日としてその期間の平均日減水深を5mm,有効降雨量500mm,代かき用水量が150mm必要とすれば,水田の灌漑総用水量から Y=0.313X+0.0387Z というようにα,βの値が求められる。α,βを比較すると林地Xは畑地Zのおよそ8倍の水供給能力があることを意味している。したがって,畑地は水田の水供給源として少ない寄与率であり,持続可能な水田面積は林地の面積でほぼ決定されると考えることができる。 したがって Y_0≒0.313X というように林地面積Xから灌漑可能水田面積Y_0を求めることができる。
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