研究概要 |
ニンジン試料を用いた乾燥実験において、水分減少に伴うインピーダンス変化の解析を行い、以下の知見を得た。 1.水分減少に伴い、細胞外抵抗Rsが増加し、Cole-Coleプロットの円弧の半径が増大した。回帰分析の結果、細胞外抵抗Rsと水分(%d.b.)との間には高い線形関係が見い出され、細胞外抵抗の測定による水分推定、乾燥速度の推定が可能であることが示唆された。この傾向は試料加熱時のRsの減少とは逆の現象であり、加熱と乾燥における細胞内外間の水分移動の相違を示すものと思われる。 2.試料は減率2段の乾燥特性を示し、第2限界含水率付近で膜容量の値がピークを示した。これにより、ピーク値の前後で膜およびその周囲の電気的特性が変化したことが示唆された。 これらの研究成果を1st International Conference on Food Physics(1994年5月25・27日,Budapest,Hungary)において報告した。 水分移動特性の定量的な推定のために、拡散式に基づく水分推定値と回路定数との関係の定式化を自己回帰モデルによる解析により行ったが、求めたパラメータ値のばらつきが大きく、統計的な検討に必要なデータの蓄積が今後必要であると考えられる。
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