目的:絶食時ヤギの頸静脈内に低級脂肪酸(VFA)を注入し、ヤギの反芻行動にどのような影響を及ぼすかについて検討を行った。方法:供試動物はザ-ネン雑種雌ヤギ4頭を用いた。実験室内は昼夜点灯とした。給餌と給水は、それぞれアルファルファ・ヘイキューブと水道水を24時間自由摂取とした。実験計画は採食時1日の実験後3日間を絶食状態にして行った。実験は絶食と同時に無注入区、生理食塩水注入区(生食区)、酢酸注入区、プロピオン酸注入区及び酪酸注入区の5実験を行った。各区の実験は3週間の間隔をおいて行われた。酢酸注入液は0.025mmoles/kg/minとし、プロピオン酸注入液は0.015mmoles/kg/minとし、酪酸注入液は0.01mmoles/kg/minとした。また、各注入液は生理食塩水で希釈して作成した。生理食塩水と各注射液は1分間に0.003mml/kg/minの割合で24時間中頸静脈のカテーテルから連続注入を行った。結果:反芻回数と反芻時間は無注入区と生食注入区は注入前と後に差はなかった。プロピオン酸注入区、酪酸注入区及び酢酸注入区は注入前より注入後は有意に減少を示した。再咀嚼時間と再咀嚼回数は無注入区と生食区は注入前と後に差はなかった。プロピオン酸注入区、酪酸注入区及び酢酸注入区は注入前より注入後に有意な減少は示した。休止時間は無注入区、生食区、プロピオン酸注入区及び酪酸注入区は注入前と後に差はなかったが、酢酸注入区においては減少傾向を示した。休息時間は無注入区、生食区、プロピオン酸注入区及び酪酸注入区において注入前と後に差はなかったが、酢酸注入区においては増加を示した。1反芻当たりの反芻時間、再咀嚼時間、休止時間及び再咀嚼回数は無注入区、生食区、酢酸区、プロピオン酸注入区及び酪酸区で注入前と後に差はなかった。
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