鳥類における脳内光受容機構の免疫電子顕微鏡学的解析

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06806035
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 蛭薙 観順 名古屋大学, 農学部, 助教授 (00126898)
• 研究分担者: 渡辺 徹 名古屋大学, 農学部, 教授 (30023427) ; 海老原 史樹文 名古屋大学, 農学部, 助教授 (50135331)
• キーワード: ハト / VIPニューロン / GnRHニューロン / 脳深部光受容器 / 外側中隔

研究概要

鳥類の脳深部光受容細胞の候補の一つである外側中隔液接触VIPニューロンとGnRHニューロンとの形態学的関係を解析するために以下の研究を行い成果を得た。
(1)VIP抗体、GnRH抗体によるハト外側中隔ニューロンの検討
前年度にひき続き免疫組織化学的手法を用い、まずVIP抗体、GnRH抗体による単独標識によりVIPニューロンとGnGHニューロンの超微形態学特徴を検討した。その結果外側中隔にはVIPニューロンの神経終末構造が多数観察され、それらのなかには軸索一樹状突起シナプス様結合、軸索一細胞体シナプス様結合を示した。いずれの場合もシナプス前要素がVIP免疫陽性であり、陽性大型顆粒(100nm程度)を含んでいた。このことよりVIPニューロンは外側中隔に投射することが明かとなった。一方GnRHニューロン細胞体および樹状突起と考えられる線維には未知の軸索からのシナプス様結合が観察された。
(2)電子顕微鏡免疫二重標識法によるVIPニューロンとGnRHニューロンとの形態学的関係の解析
まずLSAB法と金コロイド銀増感法の併用による二重免疫標識法を本研究に適用するための免疫組織化学法の最適条件を検討し研究を進めた。その結果、外側中隔領域でVIP軸索終末とGnRHニューロンの細胞体及び樹状突起とのシナプス様結合像を発見した。(1)の結果とあわせ、ハト外側中隔でのVIPニューロンによるGnRHニューロン支配の形態学的証拠を示した。本研究は、今後さらにこの点に関する鳥類神経内分泌学的意義の検討が重要な課題であることを示唆した。

研究成果

• [文献書誌] Hirunagi,K.Rommel,E.,Korf,H.-W.: "Ultrastructure of cerebrospinal fluid-contacting neurons immunoreactive to vasoactive intestinal peptide and properties of the blood-brain barrier in the lateral septal organ of the duck." Cell Tissue Res.279. 123-133 (1995)
• [文献書誌] Hirunagi,K.,Kiyoshi,K.,Sakakibara,K.,Adachi,A.,Ebihara,S.,Silver,R.: "Opsin-and VIP-like immunoreactive cerebrospinal fluid(CSF)-contacting neurons in the lateral septum of the pigeon." Fourth IBRO World Congress of Neuroscience ABSTRACTS,Rapid Communications,Oxford,New York. 276 (1995)
• [文献書誌] Kiyoshi,K.,Kondoh,M.,Hirunagi,K.: "Electron-microscopic investigations of gonadotropin-releasing hormone(GnRH)-like immunoreative neurons in the pigeon." Fourth IBRO World Congress of Neuroscience ABSTRACTS,Rapid Communications,Oxford,New York. 443 (1995)
• [文献書誌] Kiyoshi,K.,Adachi,A.,Ebihara,S.,Hirunagi,K.: "Morphological relationships between VIP-and GnRH-like immunoreactive neurons in the lateral septum of the pigeon." Abstracts of 6th international symposium on avian endocrinology,1996,Calgary,Canada. (印刷中). (1996)