(1)顕微分光装置および計測法の確立をラット肝辺縁の微小血管(類洞)および灌流肝を用いて検討した。 ラット肝臓で確立した方法論を膵臓に用いて、上記本年度研究テーマについて検討した。 その結果、平成6年度はほぼ当初の予定どうり研究が進展し、以下のような研究成果を得た。 (1)膵外分泌領域の微小血管(直径10μm以下)内の酸素輸送に関する循環パラメーターの測定に成功した。 (1)コントロール時における赤血球速度及び酸素放出速度は、それぞれ約1mm/secおよび2nmol/cm^2/secであり、肝類洞におけるそれらの値より3倍ほど大きかった。 (2)一方、セクチレンやアセチルコリンによる外分泌刺激により酸素放出速度は、最大で約2.5倍増加した。 (3)またこの時、赤血球速度は0.5倍から2倍まで変化し得、赤血球速度が低下(または増加)する場合は微小血管内のヘマトクリットの増加(または低下)により酸素供給量の調節が行われていることがわかった。 (2)膵液分泌量および総蛋白分泌量と微小循環パラメーターとの同時測定により、外分泌機能の亢進と酸素放出速度の増加との関係を定量的に理解し得た。 上述のごとく、平成6年度の研究成果はほぼ当初の計画どうり進展した。平成7年度の研究は、本研究成果を基に内分泌機序に果たす微小循環の役割を検討する。
|