β-GPA又はクレアチンを経口投与し、飼育したメスラットでも妊娠・出産は可能であった。特にクレアチン投与に対しては同一のメスラットが数回出産することも可能であった上に、子ラットの出生数もコントロール食ラットの場合と同じであった。これに対し、β-GPA投与の場合、出生数が少なく、しかも2回位しか妊娠も認められなかった。しかし、生まれた子ラットは非常に健康であり、生後3週目からβ-GPAを投与したラットと比較し、自発的運動パターンや運動能力も有意に異なるという傾向は認められなかった。骨格筋の収縮特性や代謝特性は更に遅筋化が進んでいる傾向が見られたが、β-GPA群の出生児数が少なかっため、まだ、分析数が少なく断定はできない。 クレアチン枯渇又は投与ラットでも妊娠・出産が可能であり、しかも(クレアチン枯渇の場合、出生児数は少ないものの)子ラットの健康状態や発育には異常が認められなかった。又、遅筋化もクレアチン枯渇により進行する傾向にあった。遺伝子レベルに変化が起きたか否かは不明であるが、もし変化が起きているならクレアチン含有量が遺伝子に影響すると言えるし、もし起きていないなら、筋の収縮及び代謝特性は遺伝子とは直接関係ないが、エネルギー代謝レベルの程度によって左右されることが示唆されよう。出生児数が少ないため、実験に時間を要したり、母ラットの数を増やす必要があるなどの問題点はあるが、これらの知見は今後の研究に大きな希望と可能性を与えてくれたと信じる。
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