研究概要 |
1.バイオセンサーを用いたグルコース、グルタメートの測定方法の確立。 従来、ダイアリシス法で間欠的に測定されていた脳内のグルコースやグルタメートを実時間で連続して測定できるので用途範囲が広い。 視交叉上核(SCN)の急性スライスカルチャーでグルコースの測定を行ったところセロトニン、NPY(Neuropeptide-Y)のメデイウム中への投与で上昇の傾向が認められたが麻酔下のラットのSCN近傍に刺入して測定した場合には殆ど定常状態で変化が認められなかった。このことは、2-DGを用いたSCNの代謝活動の日内変動とは意味が異なる可能性を示唆している事と考えた。一方、グルタメートは網膜からSCNへの入力の伝達分室の一つであるが、vivoの実験で、SCN近傍に刺入したプローベで網膜への光刺激によりグルタメート濃度の上昇が認められ、SCNでのエントレーニング機構解明の一助となると考えた。た。 2.SCN含有のペプタイドの概日リズム発現に関与する機能。 1)VIP,NPY,GRPの併用投与はそれぞれの単独投与よりも自由継続リズムの位相反応が増強する事が報告されているが、SCNからの出力に関与するArg-vasopressinの分泌量を指標としてみた場合、スライスカルチャーを用いた系ではVIPとGRPとではそれぞれのペプタイドかこれらの抗体を添加した場合でも機能として逆の反応を呈した。 2)恒明条件下で3週間にわたり行動(Amimex)と体温(DSI,telemeter)を連続して測定しこの間同一条件下飼育の別の動物のSCN中VIPとAVPをEIAで測定したところ、AVPは体温リズムと位相が同期して自由継続リズウを示すがVIPは含量が低下しかつリズムが消失した。 今後、網膜からの光刺激によるグルタメートのエントレーニング機構とSCNからの出力系としてのAVPの機能をその投射系のうち中隔野と室傍核でペプタイドより早期に発現するc-fos、jun-B等につきin situ hybridizationで追求していく予定。
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