研究課題/領域番号 |
06807015
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
秋山 伸一 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60117413)
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研究分担者 |
古川 龍彦 鹿児島大学, 医学部, 助手 (40219100)
原口 みさ子 鹿児島大学, 医学部, 助手 (10244229)
住澤 知之 鹿児島大学, 医学部, 助手 (90206582)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | シスプラチン耐性 / ロイコトリエンC_4 / GS-X ポンプ / MRP |
研究概要 |
我々は、シスプラチン耐性細胞KCP-4をヒト癌KB細胞より分離した。KCP-4細胞はシスプラチンをATP依存性に排出するポンプを発現していること、そのポンプはグルタチオン抱合体排出ポンプ(GS-X pump)であることを示唆する実験結果を得た。一方、Jedlitschkyらは、P-糖蛋白質の関与しない多剤耐性細胞で過剰発現しているMRPが、グルタチオン抱合体排出ポンプであることを報告した。セファランチン存在下にKB細胞より分離したアドリアマイシン(ADM)耐性細胞(C-A120,C-A500)もMRPを発現しており、多剤耐性であった。 我々は、KCP-4細胞で発現しているGS-X pumpがMRPかどうかについて検討を行った。MRPを発現する多剤耐性細胞としては、KB-3-1細胞より樹立したC-A120細胞を用いた。KCP-4細胞においてはslot blot法で親株に比べMRPmRNAの発現亢進を認めず、immunoblottingでもMRPを検出できなかった。また、KCP-4細胞はシスプラチンには耐性を示すがADM,VCRには耐性を示さなかった。以上よりKCP-4細胞で認められるGS-X pumpはMRPではないことが示唆された。つぎに、KCP-4細胞およびC-A120細胞より調製したmembrane vesicleによるLTC_4輸送の比較検討を行った。C-A120vesicleによる[^3H]LTC_4輸送反応は、最初の5分間で急速に進行するが、KCP-4 vesicleでは比較的なだらかな反応曲線を示した。LTC_4に対するKm値、ATPに対するKm値がKCP-4 vesicleとC-A120 vesicleでは異なっていた。またLTC_4輸送の阻害実験では、LTD_4はC-A120 vesicleへのLTC_4の取り込みをより強く阻害し、DNP-SGはKCP-4vesicleへのLTC_4の取り込みをより強く阻害した。シスプラチン耐性KCP-4細胞とMRP発現C-A120細胞は、いずれも重金属(アンチモン.ヒ素)に交差耐性を示し、グルタチオン抱合されたアンチモンがこれらの細胞から排出されることを示唆する結果を得た。 以上の結果よりKCP-4細胞で発現しているGS-X pumpはMRPと異なる分子であるがよく似た機能を有するATP依存性の輸送ポンプであると考えられた。
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