研究概要 |
1.ヒト横紋筋肉腫(RMS),Wilms腫瘍,神経芽腫,Ewing肉腫,白血病,などの細胞株,また種々の臨床腫瘍検において,間接蛍光抗体法で筋特異的細胞内蛋白の発現を,Northern blot法でMyoD1およびmyogeninの発現を検討した。MyoD1は,細胞株の検討からRSM全例に発現が見られ、他の腫瘍では発現が見られなかった。RMS細胞株の中には筋特異的細胞内蛋白が発現が弱いものや、同一細胞株から得られた2つのクローンの中に発現の強さの異なるものがみられた。筋特異的細胞内蛋白の発現の弱い未分化細胞よりなるヒトRMS細胞株においてもMyoD1の発現がみられた。臨床腫瘍検体では,病理組織学的にRMSと診断された腫瘍では全例でMyoD1の発現が見られたが,病理組織学的に確定診断のつかなかった未分化肉腫の中にも発現のみられたものもあった。myogeninについてはRMSで発現のみられるものとみられないものがあった。 2.形態・免疫組織化学的特徴のないヒトRMS細胞クローン株を,dimethyl sulfoxide,レチノイン酸を添加培養することでin vitroでの分化誘導を行い,形態・免疫組織化学的所見の変化を確認した。 3.上記の分化誘導にともない,筋分化制御遺伝子myogeninは発現が増加し,MyoD1の発現は変化しなかった。 4.線維肉腫については細胞株,臨床検体とも入手できなかった。MFHについては臨床検体2例で検討したところ1例においてMyoD1の発現がみられた 5.ヒトRMS細胞株において遺伝子転座t(2;13)による転写産物キメラmRNAの発現をRT-PCR法にて確認した。
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