研究課題/領域番号 |
06807019
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研究機関 | (財)東京都臨床医学総合研究所 |
研究代表者 |
宮木 美知子 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍生化学研究部門, 研究員 (20085624)
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研究分担者 |
田中 貴代子 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍生化学研究部門, 研究員 (40124474)
村岡 正敏 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍生化学研究部門, 研究員 (30260334)
矢ノ下 玲 財団法人 東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍生化学研究部門, 研究員 (00224915)
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キーワード | 大腸癌 / 癌抑制遺伝子 / DNA不安定性 / マイクロサテライトDNA / DNA診断 / 遺伝性非腺腫性大腸癌 |
研究概要 |
病理組織学的に診断された大腸腫瘍についてAPC遺伝子変異、p53遺伝子変異、DCC遺伝子変化、染色体1、8、22番の欠失、癌遺伝子rasの変異等を解析し、複数の遺伝子変化の蓄積と多段階発癌との関連を明らかにしてきた。しかし、大腸癌の発生進展に未知の機構がさらに関わっている可能性が考えられる。最近、遺伝性非腺腫性大腸癌(HNPCC)の疾患遺伝子としてDNAミスマッチ修復遺伝子hMSH2、hMLH1等が同定され、これらの異常によりHNPCC患者に発生した大腸癌においてマイクロサテライト(CA)_n反復配列の変化が高頻度で起こっていることが示された。一般集団の大腸癌発生にも類似の機構が関与する可能性が考えられる。本研究では、HNPCC患者および一般集団における大腸癌の発生・進展とDNA不安定性との関連を明らかにする目的で、HNPCC患者の大腸腫瘍8検体および一般集団の大腸腫瘍600検体(中異型腺腫、高異型腺腫、粘膜内癌、浸潤癌)について、D2S123、D3S1029、Mfd27、Mfd47、ΔAP3等の(CA)_n反復配列領域のプライマーを用いマイクロサテライトDNA不安定性を解析した。その結果、HNPCC患者由来の大腸腫瘍の90%と一般集団の大腸癌の約15%に不安定性が認められ、HNPCC患者では癌化の早期に、一般集団では癌化の後期に関与することが明らかとなった。不安定性のある腫瘍についてhMSH2遺伝子の突然変異を解析したところ、HNPCC患者の生殖細胞変異と体細胞変異、および一般集団の体細胞変異が検出された。さらに不安定性のある癌を持つ一般集団の1患者にhMSH2遺伝子の生殖細胞変異が見いだされ、DNA不安定性の解析が未知のHNPCC家系の発見に役立つことが分かった。
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