研究概要 |
BioCell Tracer systemを用いて深在性の糸状菌感染症で重要なAspergillus fumigatusの菌糸の成長速度および形態変化を指標として抗真菌剤の試験法を検討した.抗真菌剤はamphotercicinB(AMPH),flucytosine(5-FC),miconazole(MCZ)およびflconazole(FLCZ)を使用し,これら抗真菌剤の単剤または2剤併用での効果の変化を確認しながらA.fumigatusの菌糸に対する効果的な抗真菌剤療法の情報を得た.培養セルはシャーレ底面を0.01%poly-L-lysineでコーティングして用いた.A.fumigatusは患者分離株を用い,培養セル中心部に分生子10^3個を接種、基質に接着した分生子を培地で覆い30℃で24時間培養後、基質に接着している菌糸の成長速度を測定し,成長速度がゼロ付近まで降下した場合を効果有りと判定した. その結果,AMPHとMCZの併用した時はantagonisticであるとの報告が多いが,今回行った我々の試験系では弱いながら併用効果を認めた.また,MCZとFLCZの併用はCandida albicansでは効果的との報告であるが,我々の得た結果は弱い効果であった.更に,MCZと他剤との併用した試験系ではMCZと5-FCの組み合わせが他剤との組み合わせと比較して効果的で有ることが観察された. これらの事より,本試験法は糸状菌に対する抗真菌感受性試験法とし有用であることが示唆された.
|