AIDS患者から分離されるRhodococcuse equiの病原性に関する研究

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06807028
• 研究機関: 北里大学
• 研究代表者: 椿 志郎 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (70050507)
• 研究分担者: 高井 伸二 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (80137900)
• キーワード: Rhodoccus equi / プラスミド / 病原性 / AIDS / ヒト / 馬

研究概要

20kDa抗原を発現する中等度毒力株には病原性関連プラスミドを保有していたが、微妙にその大きさが異なっていた。そこで、複数の制限酵素を用いてプラスミドDNAの切断像を比較検討したところ、79kb、87kb、95kb及び100kbの4種類の大きさの異なるプラスミドであることが明らかとなった(J. Infect. Dis. 1995)。感染子馬血清が15-17kDa抗原と20kDa抗原を共に強く認識することから、これらの菌株を用いて抗体吸収試験を行ったところ、15-17kDa抗原発現株の吸収血清は20kDa抗原と反応しなくなった。これらの抗原が類似した抗原性を持つことが示唆されたので、15-17kDa抗原遺伝子をプローブとして、ヒトAIDS患者由来株(No.5)ノプラスミドDNAのEcoRI切断片のサザンハイブリダイゼーションを行い、弱いながらハイブリダイズする断片を同定した。これをクローニングし、塩基配列を決定したところ、576塩基192アミノ酸残基のオープンリーディングフレームの存在を認めた。15-17kDa抗原遺伝子と比較するDNAレベルでは79 の相同性が、アミノ酸レベルでは75%が一致した。この遺伝子をプローブとして4種類のプラスミドDNAとサザンハイブリダイゼーションを行ったところ、いずれも一本のEcoRI断片と反応した。15-17kDa抗原遺伝子が大腸菌の発現系で抗原発現が認められたのに対して、同じシステムを用いても20kDa抗原遺伝子は大腸菌で発現しなかった。病原性プラスミドの機能と毒力の違いなどを考えると興味ある知見であった。

研究成果

• [文献書誌] Sekizaki, T., et al.: "Sequencing the Rhodoccus equi gene encoding the virulence-associated 15-to 17-kilodalton antifenes." Gene. 155. 135-136 (1995)
• [文献書誌] Takai, S., et al.: "Pathogenesis of Rhodoccus equi infection in mice : Roles virulelce plasmids and granulomagenic activity of bacteria." FEMS Immunol. Med. Micrbiol. 11. 181-190 (1995)
• [文献書誌] Takai, S., et al.: "Identification of virulent Rhodoccus equi by amplification of gene coding for 15-to 17-kilodalton antigens." J. Clin. Microbiol.33. 1624-1627 (1995)
• [文献書誌] Takai, S., et al.: "Identification of virulence-associated antigens and plasmids in Rhodoccus equi from patients with AIDS." J. Infect. Dis.172. 1306-1311 (1995)
• [文献書誌] Takai, S., et al.: "Identification of the intermediately virulent Rhodococcus equi isolates from pigs" J. Clin. Microbiol.34 (in press). (1996)
• [文献書誌] Takai, S., et al.: "Isolation of Virulent and Intermediately Virulent Rhodococcus equi from Soil and Sand on Parks and Yards in Japan." J. Vet. Med. Sci.58 (in press). (1996)