研究課題/領域番号 |
06807028
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
椿 志郎 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (70050507)
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研究分担者 |
高井 伸二 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (80137900)
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キーワード | Phodococcus equi, / プラスミド, / AIDS, / 病原生、 / ヒト、 / 抗原遺伝子 / 塩基配列、 |
研究概要 |
ヒトAIDS患者由来株には20kDa抗原を発現する株と15-17kDa抗原を発現する株が存在する。この20kDa抗原を発現する株が一見、正常な豚の下顎リンパ節から分離されることが報告され、現在のところ、豚由来の20kDa抗原発現株が保有する病原生プラスミドは制限酵素切断パターンによって9種類に分類されている。この9種類の豚由来20kDa抗原発現株に対して、20kDa抗原に対するマウスモノクローナル抗体を用いたウェスタンブロッティングを行ったところ、9株における20kDa抗原のバンドの移動度に微妙な違いが認められた。この違いが20kDa抗原をコードする遺伝子の塩基配列の違いによるものなのかどうかを明らかにするため、9株すべてについて20kDa抗原遺伝子(827bp)をクローニングし、塩基配列を決定した。得られた9株の20kDa抗原遺伝子をマルチアライメント処理した結果、塩基配列の違いは8カ所にわたって見られた。この塩基配列の違いによるアミノ酸の変異は、2塩基の違いによる1カ所を含む4ケ所に見られ、残りの3カ所はサイレント変異であった。結局、塩基配列の違いからは、ウェスタンブロッティングのバンドの違いを説明することは出来なかった。本菌の病原生はプラスミドに規定され、細胞内寄生菌として特にマクロファージ内での生死を左右すると考えられているが、プラスミド上に毒力関連抗原遺伝子がコードされる事以外、何も分かっていない。そこで、分子生物学的アプローチでに病原性を調べるために毒力関連抗原遺伝子の発現調節遺伝子の検索を行うことにした。その第一歩として、15-17kDa抗原遺伝子の上流域約1.9kbの塩基配列を決定した。得られた塩基配列からはオープンリーディングフレームは認められなかったが、15-17kDa抗原遺伝子の上流約1.5kbの所に36塩基にわたるパリンドロームが確認され、そのすぐ上流に開始コドンとSD配列が認められた。このパリンドローム領域が転写調節因子の認識部位である可能性が示唆された。
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