宿泊施設で同一食・同一生活様態のボランティア10名に、茶飲料摂取あるいは制酸剤を服用してもらい、尿を採取した。尿の採取は50分の1採尿器(ユリーンメート)を用い、各尿量を測定し尿試料を持ち帰った。食物及び茶飲料中のアルミニウムの分析は黒鉛原子吸光(ゼーマン補正)を用いた。 食物より摂取したアルミニウム量は、対照群で5.7mg/day、茶負荷群で12.6mg/dayであった。茶負荷群ではこのうち7.9mg/dayが茶による負荷であった。茶負荷(1.5l)群と対照群の尿中アルミニウム排泄量はそれぞれ16±9μg/dayと7.7±3.4μg/dayであり有意な差がみられた(p<0.01)。摂取したアルミニウムは腸管で吸収される。吸収されたアルミニウムはすみやかに尿中に排泄されることが知られているが、すべて尿中に排泄されると仮定して吸収率を計算した。食物より摂取したアルミニウムの吸収率は0.1〜0.4%であった。制酸剤の吸収率はさらに低く0.01%であった。 尿中排泄量を時間単位に計算してその経時変化から生物学的半減期を推定した。制酸剤負荷の時のアルミニウムの生物学的半減期は8.5時間と推定された。
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