【目的】医療施設における最重要課題のーつであるMRSAによる院内(病院)感染症の低減化をめざす検討として、MRSAの迅速検出法を開発する。 【方法】大阪府立成人病センター(18株)、国立大阪病院(16株)、北野病院(17株)、神奈川県衛生看護学校附属病院(17株)、埼玉県立小児医療センター(27株)、埼玉県立病院(11株)及び及び愛媛大学医学部附属病院(24株)の7施設(計、130株のMRSA)を使用し、MRSAの実状を把握する試みとして、メチシリンに対するMIC値を日本化学療法学会の標準法の寒天平板混釈法により測定した。次に、それらのMRSA株につき液体培地中での継代培養を10日間(計10回)実施し、メチシリン耐性の持続性を検討した。その中でメチシリン耐性度の持続する株及び脱落したMRSA株を使用し、NEW DNA CHEMIPROBE法によるMRSAの迅速分析法の開発を検討するとともに、PCRによるmec A遺伝子の検出手法と比較検討した。 【結果】メチシリン耐性が持続する株及びメチシリン耐性が脱落する株(継代培養によりメチシリンのMIC値が12.5μg/ml以下に低下する株)を使用し検討したところ、NEW DNA CHEMIPROBE法による検出手法は、検出感度が良好であり、PCRによるmec A遺伝子の検出に匹敵することが明かとなった。 【考察】今回の検討結果から、NEW DNA CHEMIPROBE法による検出手法は、検出感度が良好であり、PCRによるmec A遺伝子の検出感度に匹敵することが判明し、本法のMRSA検出分野への有用性が検証されたと考えられる。
|