マウス末梢血において、SEB(Staphylococcal enterotoxin B)反応性T細胞であるVβ8T細胞は、SEB投与後1日目に減少していた。一方、Vβ6T細胞は不変あるいはやや増加していた。このVβ8T細胞の末梢血よりの減少はSEB投与後2時間という比較的早期に認められる事が判明した。このVβ8T細胞の末梢血よりの減少は、SEBによるT細胞レセプターのdown regulationによるものでもなく、また、apoptosisによるものでもなかった。種々の臓器(脾、リンパ節、腹腔内)への移行の有無を調べたが、Vβ8T細胞の有意な増加を示す所見は見あたらなかった。そこで、血管内に細胞の接着をはがす為のトリプシンEDTA液を注入後末梢血を採取した所、Vβ8T細胞は増加した。つまり、この事はSEB反応性T細胞であるVβ8T細胞が、SEB投与後血管壁に特異的に付着した事を示唆するものである。これらの事実はin vitroにおける血管内皮細胞へのT細胞の接着の有無においても確認された。一方、ヒトT細胞により再構築されたSCIDマウス脾細胞のSEBに対する反応性は、マウスと異なり一定ではなく、SEB反応性ヒトT細胞であるVβ3T細胞の増加あるいは減少は認められなかった。さらにin vitroにおいても明らかなトレランス誘導はできなかった。これらの点に関しては一定のデータを得べく、現在詳細に検討を行っている最中である。
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