研究概要 |
マウス末梢血ではスーパー抗原であるSEB投与後、SEB反応性のVβT細胞レセプター(TCR)ファミリーであるVβ8.1,2TCRを有するT細胞に特異的な消失が起こることをFACSによる解析にて経時的に観察し明らかにした。この消失は、従来報告されていたようなアポトーシスによる細胞の消去ではなく、細胞表面のTCRのダウンレギュレイションによるものでもなかった。即ち従来の報告よりもさらに早く消失しており(2時間以内)、特異的T細胞の血管内皮細胞への付着によるものであった。一方、in vitroにおいてもマウスT細胞はSEB存在下にてVβ8.1,2TCR特異的にヒト血管内皮細胞に付着する事を証明した。SCIDマウスへのヒト末梢血T細胞の生着に関しては、irradiation及び抗アシアロGM1抗体の投与にてヒト末梢血T細胞投与後3週において脾臓内の生着をみた。生着したT細胞はin vitroにてSEB反応性を有していたが、その反応性の程度は高くなかった。解析1週間前にSCIDマウスにSEBを投与すると、脾臓内ではヒト由来のT細胞が比較的増加していた。RT-PCR法による解析ではSEB反応性T細胞が優位であった。これらはSCIDマウス内でSEB投与によるヒトT細胞の消去が起こらなかった事を示している。SEBに対する免疫学的寛容が成立したかどうかは、invitroの反応性が対照(PBSを投与したヒト細胞再構築SCIDマウス)においても今一つ低かった為明らかにはできなかった。対照における反応性の低下は、ヒトT細胞が再構築する段階においてマウスの抗原に対して反応し既に活性化されている可能性が考えられた。
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