Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)は致死性の遺伝性筋疾患である。その多くは遺伝子変異によりreading frameがshiftし(out of frame)その下流にstop codonを生じるため、遺伝子産物(ジストロフィン)が合成できなくなり発症する。このジストロフィン遺伝子は14kbと長大であるため遺伝子導入などの一般的遺伝子治療は困難と思われる。本研究はDMDにおいて遺伝子変異によりout of frameとなるエクソンのスプライシングをskipさせることによってin-frameとしBecker型の短いが正常に近いジストロフィンの合成を促す方法を試み、遺伝子治療として有用であることを明らかにしようとした。 1.まず多数の患者の遺伝子欠失の分析を行ない、エクソン48〜エクソン50の欠失した症例をモデルとした。この場合もしエクソン51の転写時のスプライシングをスキップさせることができればin frameとなり短いが正常に近いジストロフィンが合成されるはずである。 2.この症例に合わせてエクソン47、51、52及びその前後のイントロン領域をT7プロモーターの下流につないだコンストラクションを作成しcell freeのスプライシングシステムのsubstraitとした。 3.スキップさせたいエクソン51の上流側のsplicing acceptor siteを含む24merのアンチセンスオリゴヌクレオチドを合成した。 4.このアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いてcell freeのスプライシングの分析を行なったが、現在までエクソンスキップは認められていない。 今後さらに別の部位(splicing donor siteやイントロンのbrannch point)に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた分析も必要である。
|