X染色体上のphosphoglycerate transferase (PGK)あるいはhuman androgen receptor (HUMARA)遺伝子がヘテロ接合体の女性の骨髄異形成症候群(MDS)患者より採取した骨髄細胞からFicoll-Paque比重遠沈法で単核細胞を分画し、次いで抗CD34単クローン抗体処理ビーズ法でCD34陽性細胞を調整してGM-CSF、EPO、SCFなどの造血因子存在下にメチルセルロース培養を行なって各種造血コロニー形成を行なった。14日間の培養で形成された個々の造血コロニーを倒立顕微鏡下でつまみ上げ、DNAを抽出した。得られたDNAを2等分して一方はメチル化感受性制限酵素HpaIIあるいはHhaIで消化し、残りは未消化対照として各々をPCR法を用いてPGKあるいはHUMARA遺伝子の増幅を行なった。5例のMDS患者のうち4例で骨髄造血前駆細胞は多クローン性の構成を示し、父方と母方由来のコロニーの出現頻度は赤芽球系と顆粒球系で近似していた。このことは末梢血が単クローン性を示すMDSでも骨髄には非クローン性の正常造血幹細胞が存在することを示す成績であると考えられ、クローン解析を応用することによって患者骨髄から正常幹細胞が分離可能であることの理論的根拠を得た。
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