研究課題/領域番号 |
06807099
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山口 康雄 熊本大学, 医学部, 助手 (90253757)
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研究分担者 |
守 且孝 熊本大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10040213)
小川 道雄 熊本大学, 医学部, 教授 (30028691)
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キーワード | 免疫学的寛容 / 肝移植 / 拒絶反応 / 胸腺 / Th2細胞 / CD4細胞 / CD8細胞 / OX22(CD45RC) |
研究概要 |
移植前ドナー抗原投与により、ACI(RT1^a)ラットからLEW(RT1^1)ラットへの同所性肝移植では免疫抑制剤の投与を全く必要とせず、移植肝は有意に生着延長した。拒絶群(移植後7日目)及びドナー抗原投与群(移植後14日目)にそれぞれの移植肝より浸潤細胞を採取し、W3/25(CD4)、OX8(CD8)及びOX22(CD45RC)抗体を用いてFACS解析を行った。その結果以下のことが判明した。 1.ドナー抗原投与群では、拒絶群に比較して多数のOX22^-CD4^+T細胞が認められた。PCR法にてサイトカインの分泌パターンを検討したところ、IL-4及びIL-10のmRNAが誘導されており、これらの細胞はTh2細胞であることが示唆された。また、脾臓やリンパ節ではこのような細胞は全く認められなかった。 2.一方、CD8^+T細胞のphenotypeについてFACS解析すると、OX22^+CD8^+T細胞とOX22^-CD8^+T細胞が存在することが判明した。ドナー抗原投与群では、拒絶群に比較してOX22^-CD8^+T細胞数が有意に増加した。 3.CD4とCD8抗体を用いたFACS解析では、ドナー抗原投与群にのみ多数のCD4^+CD8^+T細胞(double positive)が認められた。 4.拒絶群では、拒絶反応の進行に伴い胸腺細胞数は有意に減少し、組織学的には皮質に存在する細胞群の著明な減少が認められた。しかし、ドナー抗原投与群では胸腺細胞数の減少は認められなかった。また、組織学的には正常胸腺と同様の所見であった。CD8 以上の結果より、ドナー抗原投与群ではOX22^-CD4^+CD8^+T細胞(double positive)の存在が示唆され、移植肝内でこれらのT細胞の分化が起こっている可能性が考えられた。
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