Lipiodol ultrafluid(Lipiodol)は動脈内投与すると、腫瘍新生血管内外に長く停滞し、非腫瘍部は大略24時間以内には大部分のLipiodolはwash outされる。そのため、Lipiodolは腫瘍内だけに選択的に停滞することになる。 Lipiodolの中に制癌剤を溶かしておき、このLipiodolが腫瘍内に選択的に停滞している期間に、溶かしておいた制癌剤がLipiodol外へと溶出する剤型を作製すると、制癌剤を腫瘍局所へターゲティングすることが可能となる。 これらの剤型の中で、本年度はアンスロサイクリン系抗癌剤の中でエピルビシンを選択し、これをLipiodol中に溶解(Solution)し、その抗腫瘍効果と副作用について検した。 家兎を用い、家兎肝にVX2癌を移植。移植後2週にて腫瘍径が1〜2cmとなったものを実験に供した。全身麻酔下に開腹し、家兎固有肝動脈内へ0.2mlの種々の濃度のエピルビシン/Lipiodolを動注し検討した。 (結果)エピルビシン/Lipiodol(10mg/ml)では非癌部肝も影響を受け、壊死がみられることがあり、1mg/mlでは腫瘍の完全壊死がみられないことも多く、この間の6mg/ml、3mg/mlでは非癌部肝に壊死がみられることはなく、VX2癌巣のみの完全壊死がみられた。 エピルビシン/Lipiodolに関しては3〜6mg/mlの濃度が至適と考えられた。
|