研究概要 |
原発性ならびに転移性肝癌症例について、術前及び術後に撮影された造影CTの各画像を、フラットベッドスキャナー(Epson GT8000,透過原稿ユニット)を用いてコンピューター(Apple Macintosh,7100/66AV)に100dpiの解像度で取り込み、TIFF形式のファイルとして光磁気ディスクに保存した。この断層画像を、画像処理ソフトウエアPhotoshopにて補正を施した後、医用三次元画像再構成ソフトであるVoxelView/Mac(Vital images,Fairfield,lowa)を用いて再構築を行った。その結果、通常の1cm幅のCT画像から、5-6画面/cmの画像補完を行うことにより、(1)肝臓表面の形状、脊柱、体壁、大動脈、門脈系、大静脈と病変部との立体的な位置関係を任意の方向から観察することが可能となった、(2)各画素の透過度を再調整する事により、肝内深くに位置する病変をも透視することが可能となり、術前に切除方法のイメージを把握する上で有用であった、(3)矢状断や前額断方向の断層像の再構築も可能であった、(4)肝切除前後で、その立体像を比較検討することにより、肝再生課程における形状変化を三次元的に把握することが可能であった。 検討課題としては、(1)一旦フイルム化されたCT画像を取り込む作業は、位置合わせや解像度設定に無駄が多く、直接CTデータを利用する事が出来れば、作業の効率化、精度の向上がはかれる、(2)体幹部における断層像から、肝臓および大血管のみを抽出する際に手作業が必要である、(3)肝内の脈管像を立体視するためには、CT上の門脈、肝静脈像に対して濃度補正を行い、疑似造影像を作成する必要がある。以上3点が挙げられる。 次年度においては、手術室でのon siteでの手術支援の試みや、画像再構成の効率化について改良を重ねる予定である。
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