研究課題/領域番号 |
06807116
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
平田 仁 三重大学, 医学部, 助手 (80173243)
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研究分担者 |
岡田 元 三重大学, 医学部, 助手 (70233327)
関口 章司 三重大学, 医学部・附属病院, 助手 (50242946)
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キーワード | 組織延長法 / 末梢神経 / シュワン細胞 / ポリアミン / 免疫組織化学的検討 |
研究概要 |
細胞の分裂に際し極めて重要な働きを有するとされるポリアミンのSchwann細胞増殖における役割を明らかにする目的で以下の実験を行った。wistar系ラットを用いた。神経切断後5日目に神経下にtissue expanderを挿入し神経延長を5日間かけて行った。ラットは経時的に屠殺し、半数の神経はポリアミン合成の律速酵素であるornithine decarboxylase(ODC)活性の計測用に用い、残りの半数はproliferating nuclear cell antigen(PCNA)とs-100抗体を用いた2重染色による免疫組織化学的検討用とした。以下の3点が明らかとなった。1、神経切断後3から8日目に見られる生理的なSchwann細胞の増殖反応は切断末梢側神経内ODC活性の値と相関する。2、生理的Waller変性においてはSchwann細胞の増殖が減速する5日目以降でも神経延長により変性神経内のODC活性が上昇し、これに伴いSchwann細胞の増殖が再度活性化する。3、神経延長終了4日目より神経内ODC活性が減少するが、これと平行してSchwann細胞の分裂数も減少し、延長終了7日目には分裂を確認できなくなる。以上により、Waller変性におけるSchwann細胞の分裂にはポリアミンが重要な役割を果たすことが確認された。その後の研究により神経延長によるODC活性の上昇、Schwann細胞の増殖は神経損傷後3週を過ぎると生じないことが解った。そこで現在、種々のSchwann細胞のmitogenを用い晩期延長における影響を検討中である。また、Rutkowskiに従い成獣の坐骨神経より採取したSchwann細胞の培養系を用い、in vitroの系でもポリアミン及び種々のmitogenの作用機序を検討している。
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